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人工知能を用いた
   ファイナンス研究の現状紹介
~特に社会シミュレーションを中心として~

                   2011/4/21
       スパークス・アセット・マネジメント
                    水田孝信
           http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jindex.htm




                                                          1
本日のお話

1.自己紹介
2.ファイナンスにおける人工知能応用研究会 (SIG-FIN)
  および、人工知能を用いた研究の今を紹介
3.社会シミュレーションとは?
4.金融の規制・ルールの議論
  人工市場によるシミュレーションの必要性
5.空売り規制のシミュレーション検証




                              2
1.自己紹介




         3
自己紹介

2000年 気象大学校卒業
2004年 理学系大学院の博士課程を中退
      (研究内容: 宇宙プラズマのコンピュータシミュレーション)
      気象大学校実験助手、日本学術振興会特別研究員(DC1)、
      武蔵工業大学講師等
同年 スパークス・アセット・マネジメントに入社
     バックオフィス業務に配属
2005年 ボトムアップリサーチアナリスト
2006年 クオンツ部門
2008年 学術界にも進出
2010年 ファンドマネージャー

2007年 日本証券アナリスト協会検定会員
2008年度 人工知能学会 ファイナンスにおける人工知能応用研究会 優秀論文賞
2009年 中小企業診断士



                                          4
研究テーマ       筆頭著者    共著者         発表媒体
1   過剰な学習の研究    水田      小林、加藤、下妻    査読論文、
                                    学会
2   株式市場シミュレー   水田      和泉(東大)      学会
    タの研究
3 空売り規制の研究
  空売り規制の        八木      水田、和泉(東大)
                        水田、和泉(東大)   査読論文、
                                    査読論文、
                 東工大)
                (東工大)               査読学会
4   特許価値指数の調    水田      (特許事務所)     セミナー、学会、
    査                               ワーキングペー
                                    パー
5   日本の執行環境に    水田                  セミナー
    関する調査
6   市場環境急変時の    古幡    水田、           査読学会
    対応モデルの研究    (南カルフ 曹(続きの研究で
                ォルニア は筆頭)
                大)
                                               5
主な業績 http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jpaper.htm
-- 主な論文 -- (**は査読付き学術誌、*は査読付きカンファレンス)
** 八木勲, 水田孝信, 和泉潔, 人工市場を利用した空売り規制が与える株式市場への影響分析 , 人工知能学会論文誌, Vol. 26, No.
     1, pp.208-216, 2011.
         http://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/26/1/26_208/_article/-char/ja/
** Yagi, I., Mizuta, T., Izumi, K., A Study on the Effectiveness of Short-selling Regulation using Artificial Markets, Evolutionary and
     Institutional Economics Review, 2010.
* Yagi, I., Mizuta, T., Izumi, K., A Study on the Market Impact of Short-Selling Regulation Using Artificial Markets, ADVANCES IN
     PRACTICAL MULTI-AGENT SYSTEMS Studies in Computational Intelligence, Volume, 325/2011, 217-231, 2011.
* Furuhata, M., Mizuta T., So J., Paired Evaluators Method to Track Concept Drift: An Application for Hedge Funds Operations, 5th
     International Workshop on Chance Discovery (IWCD10), 2010.
- Mizuta, T., Kudo, I., Kobayashi, Y., A Portfolio of Japanese Equities Weighted by YKS Patent Values, SSRN Working Paper, 2009.
** 水田孝信, 小林悟, 加藤徳史, 下妻友成, 精密で複雑なクオンツファンドは優れているか?, 証券アナリストジャーナル, 72-81, (10
     月号), 2008.

-- 招待講演 –
- 東京大学: オープンゼミ(金融実務者による講演), 東京, 2/21, 2011, 理数工系出身者が求められる金融の世界 ~ 人工知能技術
     を中心に ~.
- 東京証券取引所: 金融工学研究会(社内限定勉強会), 東京, 1/17, 2011.
- SBIジャパンネクスト証券,トムソン・ロイター: 第3回証券特別セミナー<PTS清算照合と市場最新動向>, 東京, 8/5, 2010, 日本の
     バイサイドにおける最良執行環境.
- アイフィスジャパン, 工藤一郎国際特許事務所: 経営者向け企業価値向上セミナー, 東京, 3/17, 2010, 無形資産評価と株式投資.
- 工藤一郎国際特許事務所: YKSセミナー, 東京, 10/23, 2009, YKS手法を用いた新しい株式投資手法.
- 人工知能学会ファイナンス研究会, 東京, 9/12, 2009, 機関投資家が人工知能に期待すること(共同講演).

-- 取材記事 --
- 知財情報&戦略システム第15号, Intellectual Investment 知財投資.


                                                                                                                                   6
2.ファイナンスにおける
 人工知能応用研究会 (SIG-FIN)
        および、
人工知能を用いた研究の今を紹介




                       7
SIG-FINとは何なのか?


ファイナンスにおける人工知能応用研究会 (SIG-FIN)
http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/

人工知能学会の分科会(2008年からスタート)
 人工知能技術のファイナンス分野への応用研究を行う
 世界的に見ても最先端の研究発表が行われている
 1月・9月ごろとの年二回、土・日曜日に都内で開催され、実務家も多く参加
 参加費も安い(1,000円)ので気楽に参加できる(懇親会費用は別)
 MLに登録すると開催案内が届く

以下、「人工知能を用いた研究の今を紹介」します
あえて、SIG-FINで出てきた論文を引用します ← 予稿はwebで公開
(海外文献等はSIG-FIN論文を孫引きか、ニックさんの資料を参照してください・・・)
(すべてを網羅しているわけではありません、、、、私が興味ある分野を紹介)



                                                                8
どのような投資家がいるか?
       なぜ騰落率の分布がファットテールになるのか?

中本、佐藤(京大) (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-01 )
FXの騰落率分布においてテールの形状を人工市場をもちいて推定。
順張りのチャーティストがいないとテールは出てこない。

山田ら(東工大) (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-03 )
FXの騰落率分布におけるテールは順張りのチャーティストがいないと出てこない。

田嶋ら(名古屋大) (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-04 )
個別株式のティックデータから投資家の分布を推定。
株価急落が損切や誤発注によるものかファンダメンタルの急変によるものかが
将来的には分かるかも




                                                                                                     9
金融の規制・ルールはどうあるべきか?
       シミュレーションをもちいて検証

八木(神奈川工科大)、水田(スパークス)、和泉(東大) (2010)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-08 )
人工市場を用いて株式の空売り規制の有無が市場の価格形成に
どのような影響を与えるかを調査

村井(東大) (2010)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-10 )
人工市場を用いてレバレッジ規制の効果について検証
Lux and Marchiesi (2000) との対比が丁寧で現実の投資家分布の検討している

古幡(南カルフォルニア大) (2010)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-09 )
取引所の昼休みがなくなった場合の影響について調査


       本日の中心的話題である社会シミュレーション
       後ほど詳しく説明
                                                                                                     10
マルチファクター学習モデルの問題点と改善提案


水田ら(スパークス) (2009)
( http://goo.gl/uZA9r )
マルチファクター的なクオンツファンドは過剰なバックテストによって
パフォーマンスが毀損している。証券アナリストジャーナルにも掲載。
ニューラルネットワークによる学習モデルを仕様

古幡(南カルフォルニア大)、水田(スパークス)、曹(スパークス) (2010)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-04 )
有効なファクターが急変した場合にそれを検知しそのときだけ
ベットするファクターを大幅に入れ替える
他分野にも応用可能な学習モデルを発明

曹(スパークス)、古幡(南カルフォルニア大)、水田(スパークス) (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-09 )
上記の日本株発展版。売買回転率を考慮。
スパークスのクオンツファンドに実務応用。(応用の仕方は、ひみつ)

                                                                                                     11
テキストマイニング


吉田、中川、和泉(東大)ら (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-09 )
ニュース記事の分析を、出来高が上昇するような記事であるかどうかを自動的に判断
朝起きたときに注目記事を教えてくれるようになるかも

余野、和泉(東大)ら (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-10 )
中央銀行が発表するレポートをテキストマイニングし、金利政策を予測する
実際のバックテストで、債券投資によりリターンが取れていることが確認されている




                                                                                                     12
脳波を使った研究


下川(東京理科大)ら (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-07 )
人間を使った実験研究。脳波を測りながら実験室でトレードをさせ、
投資行動と脳波の関係を調べた
行動ファイナンスとの関係を調べようとしている

宮川(一橋大)、下川(東京理科大)ら (2011)
( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-08 )
上記と同様。投資家全員の脳波が分かったとしたら、
株価の騰落率を予測できるかどうかを調査。




                                                                                                     13
3.社会シミュレーションとは?




                  14
社会科学のシミュレーション研究
     エージェント・ベース・モデル
   ・ コンピュータの中に仮想の社会を構築する
   ・ ミクロなエージェント(人間)を多数投入。お互いに相互作用する。
   ・ それらを集積してマクロ的な観察が出来る

    理論モデル            実証
     研究              研究
            第3の視点



            シミュレー
             ション


             橋渡し

     ミクロ的            マクロ的
      現象              現象
                                       15
● 長所
 ・ 未知の環境をテストすることが出来る
    行ったことがない政策をテストできる
 ・ 相互作用やフィードバック現象がある場合など
    単純な数式でモデル化できない現象を扱うことが出来る
 ・ 複雑な現象のうち本質的な部分だけを取り出してテストできる
    いろんな要因の結果である実証研究に比べ比較検討がしやすい
 ・ ミクロ的な現象とマクロ的な現象の関連性を見ることが出来る
    あるミクロ的な現象を前提におけば、理論モデルの検証が出来る

● 短所
  ・ 現実と関係のないシミュレーションを行ってしまう可能性がある
     現実でも同じようなことが起こるだろうことを説明するのが簡単でない
       ⇒ 実証研究との連携が必要
  ・ どういう理由でそうなったのかが分からないことがある
     現実は複雑なので単純な説明が出来る方が怪しいと思うべき
     とはいえ、理由がまったく分からないのは次につながらない
       ⇒ 理論モデル研究との連携が必要


                                        16
手法のひとつである人工市場
    計算機上に人工的に作られた架空の市場
    マルチエージェントシステム + 価格決定メカニズム
・ エージェント
  計算機プログラムで表現された仮想的な取引参加者
  エージェントごとに売買ルールが存在(学習したり進化したりするエージェントも)
  ルールに従い発注量と発注価格を決定
  “合理的”な投資家もいれば現実にいそうな投資家もいる
・ 価格決定メカニズム(架空取引所)
  各エージェントが出した発注量と発注価格に応じて、取引価格を決定

                 発注量     エージェント
                 発注価格

              架空
              取引所


             価格決定       取引価格の
             メカニズム      決定             17
● 価格決定メカニズム

  板寄せ方式(ザラ場なし)の場合
   買い注文は価格が高いほうから積算していく。
   売り注文は価格が安いほうから積算していく。
    交点が取引価格

   積算
   発注量
                    売り




                   買い
                        価格
              取引
              価格


                             18
(2011/ 1/ 20 開催 第5回 クオンツ・ネットワーク・フォーラム、
 ニック・ウエイドさん)



• エージェント意思決定規則に関する発展
  – Cont and Bouchard (2000) ノイズトレーダーは、群れ行動をとる
  – Lux and Marchiesi (2000) トレーダーは、ファンダメンタリスト/
    チャ―ティスト/ノイズトレーダーに分類される
• 課題:全てが明らかだと、持続するオーダーブックはできない
• 近年の発展
  – Mike & Farmer (2008) 現在に至るまで最も完全なオーダーブック
  – 市場データで補正
  – ファットテール、分布の広がりはうまく再生された。ボラティリ
    ティは自己相関の結果として増大。(流動性効果)
• 直近の進展:
  – 群れ行動 ,Cont and Bouchard (2000)
  – 動的価格指定, Preis et al (2007)
  – 閾値行動、Cont (2007)
4.金融の規制・ルールの議論
人工市場によるシミュレーションの必要性




                  20
2009/9 SIG-FIN-03 招待講演の一部

   (1) バブルの抑制と金融危機を回避するための規制

 過度なバブルと過度な金融危機が起こらないような
 適切な制度・規制・金融インフラを政府に提言したい

 ☆ 過度なバブルと過度な金融危機の弊害

   ・金融は社会活動の血液:高血圧でも低血圧でもダメ、安定が大事

   ・人間が幸福になるための科学技術などの発展を支える
    今回の金融危機の教訓は「金融は主役ではなく名脇役」

   ・アセットマネジメント会社の経営においても金融危機は避けるべき
    バブル時に人をかき集め、金融危機でリストラ⇒経営が安定しない

                                     21
現在の市場はPositive Feedbackを含み不安定

古典的なファイナンス・
古典的なファイナンス・経済理論             最近の
                          特に最近の市場
  Negative Feedback         Positive Feedback
  安定的                       不安定




Soros(1987) : positive feedbackの存在を予想
Arthur(1996) : 定量的な検証を試みる

 ⇒ 定量的・実証的な検証には至っていない
   あるべき規制を想像でしか議論できていない状態

                                                22
年 月
        2008年9月まで                           年 月以降
                                        2008年9月以降
           順張りファンドの                        順張りファンドの
           パフォーマンスの改善
                    改善                     パフォーマンスの悪化
                                                    悪化



やっぱり他 ファンドが
やっぱり他のファンドが          顧客から設定
                         設定     やっぱり他 ファンドが
                                やっぱり他のファンドが          顧客から解約
                                                         解約
 じような資産
     資産を
同じような資産を持っている                    じような資産
                                     資産を
                                同じような資産を持っている



                   保有資産の買い増し
                        買                          保有資産の売却
                                                        売却
 保有資産の買い増し
      買                          保有資産の解約
                                      解約




  顧客から設定
      設定        他のファンドが
                  ファンドが           顧客から売却
                                      売却        他のファンドが
                                                  ファンドが
                 じような資産
                     資産を
                同じような資産を持っている                    じような資産
                                                     資産を
                                                同じような資産を持っている




       他ファンドもパフォーマンス改善
                    改善                 他ファンドもパフォーマンス悪化
                                                    悪化


   パフォーマンスの改善(悪化)がさらなる改善(悪化)もたらす系
   パフォーマンスの改善(悪化)がさらなる改善(悪化)もたらす系
                              改善
    ⇒ Positive Feedback を含む系: とても不安定
                              とても不安定

   市場参加者が えることによってむしろ市場は非効率になっているのでは?
   市場参加者が増えることによってむしろ市場は非効率になっているのでは?
                     市場    になっているのでは
   (古典的ファイナンスとは逆の結論)
    古典的ファイナンスとは逆 結論)
       ファイナンスとは
                                                              23
● positive feed back は金融危機の原因の根幹である可能性有り




                                           24
                        野村資本市場研究所(2008)
● 今でもファイナンス系学術界では市場効率性仮説が支配的

   そのような考え方ではPositive Feedbackを扱えない
    ⇒ あるべき金融システム・規制を議論できない


●市場効率性仮説と戦っている研究(行動ファイナンスを除く)
 ・ Andrew W. Lo (2005): Adaptive Markets 仮説
 ・ Farmer and Geanakoplos (2009)、Farmer (2002)
     : 人工市場(Agent-Based Model)も使用
などがある。


● 他の社会科学分野では有事(テロ、火災、伝染病)に対する
  あるべき対策(避難など)をシミュレーションを用いて議論している
  (山影, 2007、出口ら, 2009など多数)

⇒ 金融でもシミュレーションを使った検証を!

                                                 25
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27
28
29
5.空売り規制のシミュレーション検証




                     30
(2011/ 1/ 20 開催 第5回 クオンツ・ネットワーク・フォーラム、
 ニック・ウエイドさん)



• Yagi, Mizuta and Izumi (2010)
• Lux and Marchiesi (2000) に従い、ファンダメンタリス
  ト/チャ―ティスト/ノイズトレーダーを持つエージェン
  トベース・モデルを構築
• 規制された市場と規制のない市場の比較
  –   規制のない市場の動きはTOPIXのような「現実世界」に類似
  –   規制と共にボラティリティが増加
  –   規制された市場では効率性が低下
  –   規制された市場ではバブルが発生
• 空売り規制が有効なのは危機の最中の極めて短期間だけ
  であり、それ以外では空売りを認めることが効率性を高
  めボラティリティを低減させる
人工市場を用いた株式市場における
   空売り規制の影響分析
-規制期間と市場安定性について-

       第33回ジャフィー大会
        2010年7月30日
八木 勲(東京工業大学大学院)
水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント
株式会社)
和泉 潔(東京大学大学院)
本研究における人工市場モデル
• 市場参加するエージェントは以下の3タイプと
  し,参加割合を固定する.
 – ファンダメンタルエージェント (45%)
 – テクニカルエージェント (45%)
 – ノイズエージェント (10%)
• 空売りは保有株を売り切ってから行う.

                 空売り

                 注文
 保有株式   エージェント         人工市場
ファンダメンタルエージェント
• 各エージェントは,理論株価を基に発注(予
  想)株価を求める.
• ただし,発注株価はそのエージェントのもつ
  強気度に左右される.(強気→発注株価を高
  く設定,弱気→低く設定)
理論株価 発注株価
        強気度



             保有株式(S2),
    エージェント    キャッシュ
テクニカルエージェント
• 順張り派と逆張り派が存在する(初期状態50:50).
• 売買手法は次のとおり.

                    順張り派   逆張り派
MAt, n > MAt-1, n    買い     売り
MAt, n < MAt-1, n    売り     買い
MAt, n = MAt-1, n    待機     待機

MAt, n:第t期におけるn期移動平均.nは各エージェントに依存.
• 第t期の発注株価P t は,前期取引株価Pt-1に依存する
  (P t ~N(Pt-1, 0.01Pt-12)).
• 発注株式数 qt は,N(10, 1)に従う.
ノイズエージェント
• 売買行動(買い,売り,待機)はそれぞれ1/3
  の確率で決定する.
• 発注株価P t は,前期取引株価Pt-1に依存する
  (P t ~N(Pt-1, 0.01Pt-12)).
• 発注株式数 qt は,N(10, 1)に従う.
シミュレーションの内容
• シミュレーション1
 以下の市場を構築し,株価変動を比較,分析
 する.
 – 空売りが許容された市場(規制なし市場)
 – 空売りが禁止された市場(規制あり市場)
• シミュレーション2
  期間の異なる空売り規制と,株価収益率のボ
  ラティリティ(市場安定性)の関係を分析する.
• シミュレーション3
 リスク資産率と市場効率性の関係を分析する
 .
シミュレーション1の結果(株価推移)
                                             Theoretical prices   Prices

• 規制なし市場の状況             700

                        600

 – 株価は理論株価に沿            500

                        400
   うような形で推移.




                Price
                        300

 – 株価変動は比較的             200

                        100
   安定している.                0
                              0       2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000
• 規制あり市場の状況                                         Period
                                               Theoretical price Price

 – 株価は理論株価から             700000

                         600000
   大きく乖離している.            500000


 – 株価変動が大きく,
                         400000



                 Price
                         300000

   暴騰暴落を繰り返す             200000

                         100000
 → なぜバブルが発生                       0

   するのか?                              0   2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000
                                                       Period
規制あり市場における
     バブルのメカニズム(形成期)
• 株価上昇時:
 – テクニカルエージェントの大半は順張り買いとなる.
 – ファンダメンタルエージェントは全株式売却後,待機
   .              Total orders Buy orders Price
              350                               250000
 →買い圧力が強まり, 300
                                                200000
 株価上昇が加速する. 250
• 株価天井付近:              Volume
                                200
                                                                 150000




                                                                          Price
 – キャッシュ不足で                     150
                                                                 100000

   買い注文が減る.                     100
                                                                 50000
                                 50
 – 割安の注文が成                        0                              0

   立,株価が下がる                        2301   2351    2401
                                                 Period
                                                          2451


   .
規制あり市場における
     バブルのメカニズム(崩壊期)
• 株価下落時:
 – 株価が下がり始めると,順張り売りのテクニカル
   エージェントが増加する.
                Fundamentalists Chartists Noise traders    Price
 →売り圧力が強まり, 0.9                                        250000

 株価下落が加速する. 0.8                                        200000
                                           0.7

• 株価底値付近                                   0.6

                           Position rate
                                                                           150000
                                           0.5




                                                                                    Price
 – キャッシュ不足のエ                               0.4
                                                                           100000
   ージェントの買い注                               0.3

                                           0.2
   文が増加する.                                 0.1
                                                                           50000


 →株価が下げ止まる                                  0
                                             2301   2351    2401    2451
                                                                           0


   .                                                       Period
シミュレーション2
                各規制期間における株価推移
                              理論株価     株価                                           理論株価     株価
    10000                                                10000
                                                                     第129期から第204期まで
     8000                                                 8000       空売り規制発動

     6000                                                 6000
株                                                    株
価               第345期のみ                              価
     4000                                                 4000
                空売り規制発動
     2000                                                 2000

        0                                                    0
            0   500    1000     1500   2000   2500               0    500    1000     1500   2000   2500
                                 期                                                     期

                      規制期間:1                                                規制期間:75
                              理論株価     株価                                           理論株価     株価
    10000                                                10000
                        第546期から第846期まで
     8000               空売り規制発動                           8000

     6000                                                 6000
株                                                    株
価                                                    価
     4000                                                 4000
                                                                        第545期から最後まで
     2000                                                 2000          空売り規制発動

        0                                                    0
            0   500    1000     1500   2000   2500               0    500    1000     1500   2000   2500
                                 期                                                     期

                  規制期間:300                                            規制期間:無期限
シミュレーション3
   リスク資産率と市場効率性
• リスク資産率
   =リスク資産/(リスク資産+無リスク資産)
 – ただし,リスク資産=保有株式数×株価,
  無リスク資産=保有キャッシュ量.

• 市場効率性を以下のように定義する.
 – 株価と理論株価との乖離が小さい.
 – 株価の最大値と最小値の間に理論株価がある.
 – 収益率ボラティリティ(標準偏差)が小さい.
リ                           ラ
リ                               (%)       0.01       0.1       1       10     50     67
           規
 制                         株価(最大)         789        732      602      294    230    84
   な                       株価(最小)         71         86        62      15      6      6
     し                     理論株価           268        278      285      284    273    280
       市                                  108        80        76      203    239    256
                           理論株価からの乖離
         場
                           ボラティリティ(%)     2.89      2.85      2.73    4.45    5.79   5.76
             規
               制           株価(最大)       13950814   2028062   190077   10654   349    346
                 あ         株価(最小)         434        610      255      233    209    163
                   り       理論株価           288        321      283      336    295    301
                     市
                           理論株価からの乖離    5186177    161516    15280     932    32     41
                       場
                           ボラティリティ(%)     6.67      7.89      7.65    7.37    3.57   3.62
リスク資産率と市場効率性の
        相関関係
• 規制なし市場
 – 初期リスク資産率が大きいほど,市場が不安定になる.
 – 初期リスク資産率が大きいと,無リスク資産が少ないため
   ,リスク資産が割安のまま放置.
    →市場が非効率化.
• 規制あり市場
 – 初期リスク資産率が小さいほど,市場は不安定になる.
   →投機的にリスク資産が買われ,バブルが発生するため
 – 初期リスク資産率が大きいと,バブルが発生する前に無リ
   スク資産が底を尽くため,リスク資産は割高にならず.
   →市場は効率的に.
提案モデルの妥当性
      株価収益率に関する統計値
        規制なし市場     規制あり市場     TOPIX
 平均      0.00045    0.00317   0.00031
標準偏差     0.03098    0.07745   0.01064
 尖度      128.65     0.50732   11.673
 歪度      3.8347     0.10937   -0.13232
株価収益率のヒストグラム




   規制なし市場    規制あり市場     TOPIX

• 現実市場と同様,両市場ともファットテール形分布となっている.
• 規制なし市場の方がより現実の市場に似ている.
株価収益率の自己相関




 株価収益率の自己相関   株価収益率の2乗自己相関


規制なし市場は現実市場と似た自己相関関数である.
規制あり市場は記憶性がある.→標準偏差が大.
ご清聴ありがとうございました




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20110421

  • 1. 人工知能を用いた ファイナンス研究の現状紹介 ~特に社会シミュレーションを中心として~ 2011/4/21 スパークス・アセット・マネジメント 水田孝信 http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jindex.htm 1
  • 2. 本日のお話 1.自己紹介 2.ファイナンスにおける人工知能応用研究会 (SIG-FIN) および、人工知能を用いた研究の今を紹介 3.社会シミュレーションとは? 4.金融の規制・ルールの議論 人工市場によるシミュレーションの必要性 5.空売り規制のシミュレーション検証 2
  • 4. 自己紹介 2000年 気象大学校卒業 2004年 理学系大学院の博士課程を中退 (研究内容: 宇宙プラズマのコンピュータシミュレーション) 気象大学校実験助手、日本学術振興会特別研究員(DC1)、 武蔵工業大学講師等 同年 スパークス・アセット・マネジメントに入社 バックオフィス業務に配属 2005年 ボトムアップリサーチアナリスト 2006年 クオンツ部門 2008年 学術界にも進出 2010年 ファンドマネージャー 2007年 日本証券アナリスト協会検定会員 2008年度 人工知能学会 ファイナンスにおける人工知能応用研究会 優秀論文賞 2009年 中小企業診断士 4
  • 5. 研究テーマ 筆頭著者 共著者 発表媒体 1 過剰な学習の研究 水田 小林、加藤、下妻 査読論文、 学会 2 株式市場シミュレー 水田 和泉(東大) 学会 タの研究 3 空売り規制の研究 空売り規制の 八木 水田、和泉(東大) 水田、和泉(東大) 査読論文、 査読論文、 東工大) (東工大) 査読学会 4 特許価値指数の調 水田 (特許事務所) セミナー、学会、 査 ワーキングペー パー 5 日本の執行環境に 水田 セミナー 関する調査 6 市場環境急変時の 古幡 水田、 査読学会 対応モデルの研究 (南カルフ 曹(続きの研究で ォルニア は筆頭) 大) 5
  • 6. 主な業績 http://www.geocities.jp/mizuta_ta/jpaper.htm -- 主な論文 -- (**は査読付き学術誌、*は査読付きカンファレンス) ** 八木勲, 水田孝信, 和泉潔, 人工市場を利用した空売り規制が与える株式市場への影響分析 , 人工知能学会論文誌, Vol. 26, No. 1, pp.208-216, 2011. http://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/26/1/26_208/_article/-char/ja/ ** Yagi, I., Mizuta, T., Izumi, K., A Study on the Effectiveness of Short-selling Regulation using Artificial Markets, Evolutionary and Institutional Economics Review, 2010. * Yagi, I., Mizuta, T., Izumi, K., A Study on the Market Impact of Short-Selling Regulation Using Artificial Markets, ADVANCES IN PRACTICAL MULTI-AGENT SYSTEMS Studies in Computational Intelligence, Volume, 325/2011, 217-231, 2011. * Furuhata, M., Mizuta T., So J., Paired Evaluators Method to Track Concept Drift: An Application for Hedge Funds Operations, 5th International Workshop on Chance Discovery (IWCD10), 2010. - Mizuta, T., Kudo, I., Kobayashi, Y., A Portfolio of Japanese Equities Weighted by YKS Patent Values, SSRN Working Paper, 2009. ** 水田孝信, 小林悟, 加藤徳史, 下妻友成, 精密で複雑なクオンツファンドは優れているか?, 証券アナリストジャーナル, 72-81, (10 月号), 2008. -- 招待講演 – - 東京大学: オープンゼミ(金融実務者による講演), 東京, 2/21, 2011, 理数工系出身者が求められる金融の世界 ~ 人工知能技術 を中心に ~. - 東京証券取引所: 金融工学研究会(社内限定勉強会), 東京, 1/17, 2011. - SBIジャパンネクスト証券,トムソン・ロイター: 第3回証券特別セミナー<PTS清算照合と市場最新動向>, 東京, 8/5, 2010, 日本の バイサイドにおける最良執行環境. - アイフィスジャパン, 工藤一郎国際特許事務所: 経営者向け企業価値向上セミナー, 東京, 3/17, 2010, 無形資産評価と株式投資. - 工藤一郎国際特許事務所: YKSセミナー, 東京, 10/23, 2009, YKS手法を用いた新しい株式投資手法. - 人工知能学会ファイナンス研究会, 東京, 9/12, 2009, 機関投資家が人工知能に期待すること(共同講演). -- 取材記事 -- - 知財情報&戦略システム第15号, Intellectual Investment 知財投資. 6
  • 7. 2.ファイナンスにおける 人工知能応用研究会 (SIG-FIN) および、 人工知能を用いた研究の今を紹介 7
  • 8. SIG-FINとは何なのか? ファイナンスにおける人工知能応用研究会 (SIG-FIN) http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/ 人工知能学会の分科会(2008年からスタート) 人工知能技術のファイナンス分野への応用研究を行う 世界的に見ても最先端の研究発表が行われている 1月・9月ごろとの年二回、土・日曜日に都内で開催され、実務家も多く参加 参加費も安い(1,000円)ので気楽に参加できる(懇親会費用は別) MLに登録すると開催案内が届く 以下、「人工知能を用いた研究の今を紹介」します あえて、SIG-FINで出てきた論文を引用します ← 予稿はwebで公開 (海外文献等はSIG-FIN論文を孫引きか、ニックさんの資料を参照してください・・・) (すべてを網羅しているわけではありません、、、、私が興味ある分野を紹介) 8
  • 9. どのような投資家がいるか? なぜ騰落率の分布がファットテールになるのか? 中本、佐藤(京大) (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-01 ) FXの騰落率分布においてテールの形状を人工市場をもちいて推定。 順張りのチャーティストがいないとテールは出てこない。 山田ら(東工大) (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-03 ) FXの騰落率分布におけるテールは順張りのチャーティストがいないと出てこない。 田嶋ら(名古屋大) (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-04 ) 個別株式のティックデータから投資家の分布を推定。 株価急落が損切や誤発注によるものかファンダメンタルの急変によるものかが 将来的には分かるかも 9
  • 10. 金融の規制・ルールはどうあるべきか? シミュレーションをもちいて検証 八木(神奈川工科大)、水田(スパークス)、和泉(東大) (2010) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-08 ) 人工市場を用いて株式の空売り規制の有無が市場の価格形成に どのような影響を与えるかを調査 村井(東大) (2010) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-10 ) 人工市場を用いてレバレッジ規制の効果について検証 Lux and Marchiesi (2000) との対比が丁寧で現実の投資家分布の検討している 古幡(南カルフォルニア大) (2010) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-09 ) 取引所の昼休みがなくなった場合の影響について調査 本日の中心的話題である社会シミュレーション 後ほど詳しく説明 10
  • 11. マルチファクター学習モデルの問題点と改善提案 水田ら(スパークス) (2009) ( http://goo.gl/uZA9r ) マルチファクター的なクオンツファンドは過剰なバックテストによって パフォーマンスが毀損している。証券アナリストジャーナルにも掲載。 ニューラルネットワークによる学習モデルを仕様 古幡(南カルフォルニア大)、水田(スパークス)、曹(スパークス) (2010) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-04 ) 有効なファクターが急変した場合にそれを検知しそのときだけ ベットするファクターを大幅に入れ替える 他分野にも応用可能な学習モデルを発明 曹(スパークス)、古幡(南カルフォルニア大)、水田(スパークス) (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-005-09 ) 上記の日本株発展版。売買回転率を考慮。 スパークスのクオンツファンドに実務応用。(応用の仕方は、ひみつ) 11
  • 12. テキストマイニング 吉田、中川、和泉(東大)ら (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-09 ) ニュース記事の分析を、出来高が上昇するような記事であるかどうかを自動的に判断 朝起きたときに注目記事を教えてくれるようになるかも 余野、和泉(東大)ら (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-10 ) 中央銀行が発表するレポートをテキストマイニングし、金利政策を予測する 実際のバックテストで、債券投資によりリターンが取れていることが確認されている 12
  • 13. 脳波を使った研究 下川(東京理科大)ら (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-07 ) 人間を使った実験研究。脳波を測りながら実験室でトレードをさせ、 投資行動と脳波の関係を調べた 行動ファイナンスとの関係を調べようとしている 宮川(一橋大)、下川(東京理科大)ら (2011) ( http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-006-08 ) 上記と同様。投資家全員の脳波が分かったとしたら、 株価の騰落率を予測できるかどうかを調査。 13
  • 15. 社会科学のシミュレーション研究 エージェント・ベース・モデル ・ コンピュータの中に仮想の社会を構築する ・ ミクロなエージェント(人間)を多数投入。お互いに相互作用する。 ・ それらを集積してマクロ的な観察が出来る 理論モデル 実証 研究 研究 第3の視点 シミュレー ション 橋渡し ミクロ的 マクロ的 現象 現象 15
  • 16. ● 長所 ・ 未知の環境をテストすることが出来る 行ったことがない政策をテストできる ・ 相互作用やフィードバック現象がある場合など 単純な数式でモデル化できない現象を扱うことが出来る ・ 複雑な現象のうち本質的な部分だけを取り出してテストできる いろんな要因の結果である実証研究に比べ比較検討がしやすい ・ ミクロ的な現象とマクロ的な現象の関連性を見ることが出来る あるミクロ的な現象を前提におけば、理論モデルの検証が出来る ● 短所 ・ 現実と関係のないシミュレーションを行ってしまう可能性がある 現実でも同じようなことが起こるだろうことを説明するのが簡単でない ⇒ 実証研究との連携が必要 ・ どういう理由でそうなったのかが分からないことがある 現実は複雑なので単純な説明が出来る方が怪しいと思うべき とはいえ、理由がまったく分からないのは次につながらない ⇒ 理論モデル研究との連携が必要 16
  • 17. 手法のひとつである人工市場 計算機上に人工的に作られた架空の市場 マルチエージェントシステム + 価格決定メカニズム ・ エージェント 計算機プログラムで表現された仮想的な取引参加者 エージェントごとに売買ルールが存在(学習したり進化したりするエージェントも) ルールに従い発注量と発注価格を決定 “合理的”な投資家もいれば現実にいそうな投資家もいる ・ 価格決定メカニズム(架空取引所) 各エージェントが出した発注量と発注価格に応じて、取引価格を決定 発注量 エージェント 発注価格 架空 取引所 価格決定 取引価格の メカニズム 決定 17
  • 18. ● 価格決定メカニズム 板寄せ方式(ザラ場なし)の場合 買い注文は価格が高いほうから積算していく。 売り注文は価格が安いほうから積算していく。 交点が取引価格 積算 発注量 売り 買い 価格 取引 価格 18
  • 19. (2011/ 1/ 20 開催 第5回 クオンツ・ネットワーク・フォーラム、 ニック・ウエイドさん) • エージェント意思決定規則に関する発展 – Cont and Bouchard (2000) ノイズトレーダーは、群れ行動をとる – Lux and Marchiesi (2000) トレーダーは、ファンダメンタリスト/ チャ―ティスト/ノイズトレーダーに分類される • 課題:全てが明らかだと、持続するオーダーブックはできない • 近年の発展 – Mike & Farmer (2008) 現在に至るまで最も完全なオーダーブック – 市場データで補正 – ファットテール、分布の広がりはうまく再生された。ボラティリ ティは自己相関の結果として増大。(流動性効果) • 直近の進展: – 群れ行動 ,Cont and Bouchard (2000) – 動的価格指定, Preis et al (2007) – 閾値行動、Cont (2007)
  • 21. 2009/9 SIG-FIN-03 招待講演の一部 (1) バブルの抑制と金融危機を回避するための規制 過度なバブルと過度な金融危機が起こらないような 適切な制度・規制・金融インフラを政府に提言したい ☆ 過度なバブルと過度な金融危機の弊害 ・金融は社会活動の血液:高血圧でも低血圧でもダメ、安定が大事 ・人間が幸福になるための科学技術などの発展を支える 今回の金融危機の教訓は「金融は主役ではなく名脇役」 ・アセットマネジメント会社の経営においても金融危機は避けるべき バブル時に人をかき集め、金融危機でリストラ⇒経営が安定しない 21
  • 22. 現在の市場はPositive Feedbackを含み不安定 古典的なファイナンス・ 古典的なファイナンス・経済理論 最近の 特に最近の市場 Negative Feedback Positive Feedback 安定的 不安定 Soros(1987) : positive feedbackの存在を予想 Arthur(1996) : 定量的な検証を試みる ⇒ 定量的・実証的な検証には至っていない あるべき規制を想像でしか議論できていない状態 22
  • 23. 年 月 2008年9月まで 年 月以降 2008年9月以降 順張りファンドの 順張りファンドの パフォーマンスの改善 改善 パフォーマンスの悪化 悪化 やっぱり他 ファンドが やっぱり他のファンドが 顧客から設定 設定 やっぱり他 ファンドが やっぱり他のファンドが 顧客から解約 解約 じような資産 資産を 同じような資産を持っている じような資産 資産を 同じような資産を持っている 保有資産の買い増し 買 保有資産の売却 売却 保有資産の買い増し 買 保有資産の解約 解約 顧客から設定 設定 他のファンドが ファンドが 顧客から売却 売却 他のファンドが ファンドが じような資産 資産を 同じような資産を持っている じような資産 資産を 同じような資産を持っている 他ファンドもパフォーマンス改善 改善 他ファンドもパフォーマンス悪化 悪化 パフォーマンスの改善(悪化)がさらなる改善(悪化)もたらす系 パフォーマンスの改善(悪化)がさらなる改善(悪化)もたらす系 改善 ⇒ Positive Feedback を含む系: とても不安定 とても不安定 市場参加者が えることによってむしろ市場は非効率になっているのでは? 市場参加者が増えることによってむしろ市場は非効率になっているのでは? 市場 になっているのでは (古典的ファイナンスとは逆の結論) 古典的ファイナンスとは逆 結論) ファイナンスとは 23
  • 24. ● positive feed back は金融危機の原因の根幹である可能性有り 24 野村資本市場研究所(2008)
  • 25. ● 今でもファイナンス系学術界では市場効率性仮説が支配的 そのような考え方ではPositive Feedbackを扱えない ⇒ あるべき金融システム・規制を議論できない ●市場効率性仮説と戦っている研究(行動ファイナンスを除く) ・ Andrew W. Lo (2005): Adaptive Markets 仮説 ・ Farmer and Geanakoplos (2009)、Farmer (2002) : 人工市場(Agent-Based Model)も使用 などがある。 ● 他の社会科学分野では有事(テロ、火災、伝染病)に対する あるべき対策(避難など)をシミュレーションを用いて議論している (山影, 2007、出口ら, 2009など多数) ⇒ 金融でもシミュレーションを使った検証を! 25
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  • 31. (2011/ 1/ 20 開催 第5回 クオンツ・ネットワーク・フォーラム、 ニック・ウエイドさん) • Yagi, Mizuta and Izumi (2010) • Lux and Marchiesi (2000) に従い、ファンダメンタリス ト/チャ―ティスト/ノイズトレーダーを持つエージェン トベース・モデルを構築 • 規制された市場と規制のない市場の比較 – 規制のない市場の動きはTOPIXのような「現実世界」に類似 – 規制と共にボラティリティが増加 – 規制された市場では効率性が低下 – 規制された市場ではバブルが発生 • 空売り規制が有効なのは危機の最中の極めて短期間だけ であり、それ以外では空売りを認めることが効率性を高 めボラティリティを低減させる
  • 32. 人工市場を用いた株式市場における 空売り規制の影響分析 -規制期間と市場安定性について- 第33回ジャフィー大会 2010年7月30日 八木 勲(東京工業大学大学院) 水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント 株式会社) 和泉 潔(東京大学大学院)
  • 33. 本研究における人工市場モデル • 市場参加するエージェントは以下の3タイプと し,参加割合を固定する. – ファンダメンタルエージェント (45%) – テクニカルエージェント (45%) – ノイズエージェント (10%) • 空売りは保有株を売り切ってから行う. 空売り 注文 保有株式 エージェント 人工市場
  • 34. ファンダメンタルエージェント • 各エージェントは,理論株価を基に発注(予 想)株価を求める. • ただし,発注株価はそのエージェントのもつ 強気度に左右される.(強気→発注株価を高 く設定,弱気→低く設定) 理論株価 発注株価 強気度 保有株式(S2), エージェント キャッシュ
  • 35. テクニカルエージェント • 順張り派と逆張り派が存在する(初期状態50:50). • 売買手法は次のとおり. 順張り派 逆張り派 MAt, n > MAt-1, n 買い 売り MAt, n < MAt-1, n 売り 買い MAt, n = MAt-1, n 待機 待機 MAt, n:第t期におけるn期移動平均.nは各エージェントに依存. • 第t期の発注株価P t は,前期取引株価Pt-1に依存する (P t ~N(Pt-1, 0.01Pt-12)). • 発注株式数 qt は,N(10, 1)に従う.
  • 36. ノイズエージェント • 売買行動(買い,売り,待機)はそれぞれ1/3 の確率で決定する. • 発注株価P t は,前期取引株価Pt-1に依存する (P t ~N(Pt-1, 0.01Pt-12)). • 発注株式数 qt は,N(10, 1)に従う.
  • 37. シミュレーションの内容 • シミュレーション1 以下の市場を構築し,株価変動を比較,分析 する. – 空売りが許容された市場(規制なし市場) – 空売りが禁止された市場(規制あり市場) • シミュレーション2 期間の異なる空売り規制と,株価収益率のボ ラティリティ(市場安定性)の関係を分析する. • シミュレーション3 リスク資産率と市場効率性の関係を分析する .
  • 38. シミュレーション1の結果(株価推移) Theoretical prices Prices • 規制なし市場の状況 700 600 – 株価は理論株価に沿 500 400 うような形で推移. Price 300 – 株価変動は比較的 200 100 安定している. 0 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 • 規制あり市場の状況 Period Theoretical price Price – 株価は理論株価から 700000 600000 大きく乖離している. 500000 – 株価変動が大きく, 400000 Price 300000 暴騰暴落を繰り返す 200000 100000 → なぜバブルが発生 0 するのか? 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 Period
  • 39. 規制あり市場における バブルのメカニズム(形成期) • 株価上昇時: – テクニカルエージェントの大半は順張り買いとなる. – ファンダメンタルエージェントは全株式売却後,待機 . Total orders Buy orders Price 350 250000 →買い圧力が強まり, 300 200000 株価上昇が加速する. 250 • 株価天井付近: Volume 200 150000 Price – キャッシュ不足で 150 100000 買い注文が減る. 100 50000 50 – 割安の注文が成 0 0 立,株価が下がる 2301 2351 2401 Period 2451 .
  • 40. 規制あり市場における バブルのメカニズム(崩壊期) • 株価下落時: – 株価が下がり始めると,順張り売りのテクニカル エージェントが増加する. Fundamentalists Chartists Noise traders Price →売り圧力が強まり, 0.9 250000 株価下落が加速する. 0.8 200000 0.7 • 株価底値付近 0.6 Position rate 150000 0.5 Price – キャッシュ不足のエ 0.4 100000 ージェントの買い注 0.3 0.2 文が増加する. 0.1 50000 →株価が下げ止まる 0 2301 2351 2401 2451 0 . Period
  • 41. シミュレーション2 各規制期間における株価推移 理論株価 株価 理論株価 株価 10000 10000 第129期から第204期まで 8000 8000 空売り規制発動 6000 6000 株 株 価 第345期のみ 価 4000 4000 空売り規制発動 2000 2000 0 0 0 500 1000 1500 2000 2500 0 500 1000 1500 2000 2500 期 期 規制期間:1 規制期間:75 理論株価 株価 理論株価 株価 10000 10000 第546期から第846期まで 8000 空売り規制発動 8000 6000 6000 株 株 価 価 4000 4000 第545期から最後まで 2000 2000 空売り規制発動 0 0 0 500 1000 1500 2000 2500 0 500 1000 1500 2000 2500 期 期 規制期間:300 規制期間:無期限
  • 42. シミュレーション3 リスク資産率と市場効率性 • リスク資産率 =リスク資産/(リスク資産+無リスク資産) – ただし,リスク資産=保有株式数×株価, 無リスク資産=保有キャッシュ量. • 市場効率性を以下のように定義する. – 株価と理論株価との乖離が小さい. – 株価の最大値と最小値の間に理論株価がある. – 収益率ボラティリティ(標準偏差)が小さい.
  • 43. ラ リ (%) 0.01 0.1 1 10 50 67 規 制 株価(最大) 789 732 602 294 230 84 な 株価(最小) 71 86 62 15 6 6 し 理論株価 268 278 285 284 273 280 市 108 80 76 203 239 256 理論株価からの乖離 場 ボラティリティ(%) 2.89 2.85 2.73 4.45 5.79 5.76 規 制 株価(最大) 13950814 2028062 190077 10654 349 346 あ 株価(最小) 434 610 255 233 209 163 り 理論株価 288 321 283 336 295 301 市 理論株価からの乖離 5186177 161516 15280 932 32 41 場 ボラティリティ(%) 6.67 7.89 7.65 7.37 3.57 3.62
  • 44. リスク資産率と市場効率性の 相関関係 • 規制なし市場 – 初期リスク資産率が大きいほど,市場が不安定になる. – 初期リスク資産率が大きいと,無リスク資産が少ないため ,リスク資産が割安のまま放置. →市場が非効率化. • 規制あり市場 – 初期リスク資産率が小さいほど,市場は不安定になる. →投機的にリスク資産が買われ,バブルが発生するため – 初期リスク資産率が大きいと,バブルが発生する前に無リ スク資産が底を尽くため,リスク資産は割高にならず. →市場は効率的に.
  • 45. 提案モデルの妥当性 株価収益率に関する統計値 規制なし市場 規制あり市場 TOPIX 平均 0.00045 0.00317 0.00031 標準偏差 0.03098 0.07745 0.01064 尖度 128.65 0.50732 11.673 歪度 3.8347 0.10937 -0.13232
  • 46. 株価収益率のヒストグラム 規制なし市場 規制あり市場 TOPIX • 現実市場と同様,両市場ともファットテール形分布となっている. • 規制なし市場の方がより現実の市場に似ている.
  • 47. 株価収益率の自己相関 株価収益率の自己相関 株価収益率の2乗自己相関 規制なし市場は現実市場と似た自己相関関数である. 規制あり市場は記憶性がある.→標準偏差が大.